放課後等デイサービスとは

放課後等デイサービスとはその名の通り、障がいのある子どもが放課後や長期休暇などに通うことができる福祉サービスのひとつです。
6歳～18歳(小学生から高校生)の児童・生徒が対象で、計算や運動などの訓練やレクリエーションなど、それぞれに合った訓練を通じて社会生活をを円滑に営むための能力を養います。

放課後や夏休みに通うことから「障がい児の学童」と呼ばれることもあります。
定期的に通う場所が存在することで、障がい児のケアを日常的に行う家族や周りの人間が休息を取ったり自分のために時間を使える「レスパイトケア」としても機能しているのです。

放課後等デイサービスは2012年の児童福祉法改正によりスタートした比較的新しい福祉サービスですが、家庭と学校だけでない「第三の居場所」として、障がい児と周囲を支える軸のひとつとなっています。

放課後等デイサービスで必要とされる職種

放課後等デイサービスでは日常生活に必要な訓練やレクリエーション、運動など、それぞれの特性や希望に合わせたケアを提供しています。

それぞれがどのようなケアを受けるかは、個別支援計画に基づいて決められています。
各事業所ごとに得意な分野がありパソコン作業や創作活動など、スキルを持つ指導員のもとで活動している事業所も増えています。

事業所ごとに特色はあるものの、放課後等デイサービスでは要件を満たすために以下のような人員の配置基準が定められています。

今回ご紹介する理学療法士は、放課後等デイサービスを運営する上での必要な人員配置に含まれてはいません。
ただし機能訓練を実施する場合には機能訓練担当職員配置が義務付けられていて、機能訓練担当職員とは理学療法士や作業療法士などのリハビリ職です。
障がい児のサポートを行ううえで、運動機能回復の専門家である理学療法士の役割は非常に大きいものだといえます。
次の項では、理学療法士とはどのような資格なのかを解説しています。

理学療法士とは

理学療法士とは事故や病気、障がいなどで運動機能が低下した人に対し、それぞれに合った方法を用いた理学療法を行う資格を持っている人を指します。

理学療法士になるには所定の専門教育を受け、国家試験に合格しなくてはいけません。
国家試験を受験するための養成校には大学(四年制や短期大学)、専門学校、特別支援学校などがあります。
「理学療法」とは理学療法士及び作業療法士法において、以下のように定められています。

この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。

理学療法士及び作業療法士法より引用

さまざまな原因で低下した運動機能を維持・回復するためトレーニングやマッサージ、電気療法、温熱療法などを用いてリハビリを行う、身体づくりのプロフェッショナルといえるでしょう。

理学療法士の行う仕事

理学療法士が運動機能の維持・回復をサポートする専門職であることはご紹介しましたが、具体的にどのような仕事を行っているのでしょうか。
運動機能の維持・回復とは歩行や立ち座り、寝返りなどの基本的な動作を行えるようにさまざまなリハビリ等を行うことを指しています。

目的地まで歩くこと、寝返りを打つこと、着替えや排泄などの生活に欠かせない基本動作を他人にできるだけ頼らず行いたいという気持ちは、障がいや病気を抱えた方でも変わりません。
理学療法士は対象となる方の生活の質(QOL)の向上をはかり、充実した生活を送れるよう、さまざまなトレーニングやリハビリを行います。

作業療法士との違い

リハビリテーションのプロフェッショナルとして理学療法士と並んで語られることが多いのが、作業療法士です。
このふたつにはどのような違いがあるのでしょうか。

理学療法士が歩く、立つ、座るなどの比較的大きな基本動作を訓練するのに対し、作業療法士は文字を書いたり、お箸で細かいものをつまむなどの手指を使った動作を訓練することが中心です。
いずれも残った身体機能を最大限維持し生活の質を向上させるという目的は変わりませんが、専門分野が異なるともいえるでしょう。

放課後等デイサービスと病院勤務 理学療法士の仕事はどう違う？

理学療法士はリハビリテーションの専門家として、さまざまな現場で必要とされています。
医療機関や老人介護施設、アスリート向けのトレーニング施設など幅広い需要がありますが、ここでは多くの理学療法士が働いている病院と、放課後等デイサービスの理学療法士の仕事内容を比較してみました。

病院勤務の理学療法士

理学療法士の活躍する場として、まず思いつくのが病院ではないでしょうか。
病院において、リハビリが必要とされるケースはさまざまです。
外傷による疾患、肺や心臓の疾患、長期間の入院による心身の衰えなど、それぞれの状態に合わせて、チームを組んで医師の指示のもとリハビリを行います。
病院によってはリハビリテーション科が置かれており、各医療機関における専門分野のリハビリテーション認定資格が求められるケースもあります。

対象となる年齢層は幅広く、スポーツ障害などで通院している学生や身体機能の維持を目指す高齢者などさまざまです。
各病院の専門としている分野によっても異なりますが、幅広い対応力と専門知識が求められるといえるでしょう。

放課後等デイサービス勤務の理学療法士

一方、放課後等デイサービスに勤務する理学療法士は、病院勤務とは異なり対象となる年齢層は小学生～高校生までの児童・生徒がほとんどです。
入院中のリハビリテーションとは異なり、放課後等デイサービスは平日の放課後や長期休暇など、子ども達と接する時間が非常に長くなります。
そのため、よりコミュニケーションを重視した長期的なケアが求められます。
障がいを持つ子どもが対象になることもあり、障がい児ケアに関する専門知識も必要です。

放課後等デイサービスには児童発達支援管理責任者や保育士などさまざまなスキルを持ったスタッフが働いていますが、多くの場合病院よりも小規模な運営をしています。
そのため運動機能の維持・向上という本来の業務以外にも、見守りや送迎などの業務を担当することも少なくありません。

じっくり子ども達と向き合いながら、運動やレクリエーションに取り組むことができるのも魅力のひとつです。

理学療法士のお仕事、病院と放デイの違い（本音トーク）

現在、理学療法士として働く人は約127,000人ほどいますが、6割以上が医療機関などの医療法関連施設で働いています。
放課後等デイサービスのような児童福祉法関連施設で働く理学療法士は全体の2％にも満たないのが現状です。
ここでは、株式会社ライフデザインで働く理学療法士などの専門職へ行ったアンケートやインタビューをもとに、勤務実態や仕事の内容等をまとめてみました。

専門職座談会の様子はこちらからどうぞ！

放課後等デイサービスで働こうと考えたきっかけ

放課後等デイサービスで働く理学療法士をはじめとする専門職スタッフは、他業種を経験してから障がい児福祉に関わるようになった人が大半です。
専門性を身につけて人の助けになる仕事がしたいという人や、家族や自分の子どもをケアするために資格を取得した人など、そのきっかけはさまざまです。
別の仕事を経験することで、改めて障がい児福祉への思いを新たにしたという意見もみられました。

前職との違いを感じるのはどんな時か

医療機関から放課後等デイサービスに転職したスタッフからは、業種による違いを感じるという意見が多く聞かれました。
放課後等デイサービスでは子どもと接する時間が長く、長期的な関係を構築していくことが求められます。

総合的なケアを提供するという面から保護者との連携も重要になるなど、利用者との関係構築において違いを感じる人が多いようです。
特に障がい児福祉分野においては、エビデンスによらない経験則や手技を選択せざるを得ない場面が多いという側面もあります。
放課後等デイサービスでは医師が常駐しないことから、仕事の進め方に違いを感じたという意見もありました。

専門職の知識やスキルが活かせていると感じるのはどんな時か

放課後等デイサービスにおいて、専門職スタッフの人数は多くありません。

その中で自分の専門分野に関する困りごとや問題を適切に解決できたとき、知識やスキルを活かせていると実感するという意見が多く聞かれました。
また、専門職ならではの着眼点で支援が必要な部分をいち早く見つけ出せた時にもそう感じる、という意見もありました。

仕事にやりがいや楽しさを感じるとき

圧倒的に多かったのが、子どもが楽しく過ごしている姿や成長を実感できたときという回答でした。

子どもや保護者との信頼関係を築けたと実感した時にも頑張って良かったなと思えるという意見が聞かれました。
障がい児福祉分野未経験で入社した人からは、新たな仕事にチャレンジする土壌が整っていることにやりがいを感じるという声もありました。

病院と放デイ、給与や待遇面での違いを感じることはあるか

転職の際に気になるのが収入面や待遇ですが、病院をはじめとした医療機関と比較してもほとんど変わらないという回答が目立ちました。
福祉や介護業界は年収が低いというイメージが先行していますが、実際には病院とほとんど変わらないと考えて良さそうです。残業や持ち帰り仕事がほぼないことにくわえて、子どもたちと楽しく活動できる仕事が多いので、転職前に比べて精神的に余裕を感じるという声も聞かれました。

勤務時間や残業は？

近年は働き方改革が進んでいるからでしょうか、病院でも残業がなかったというスタッフが複数いました。
勤務時間の中で子どものために使う時間が多い点を「楽しい」と感じるスタッフも。
事務作業もありますが、それも含めて午前中から子どもたちを迎える準備をするなどじっくり子どもたちに向き合える環境があるといえます。

病院と比べてたいへんだと感じること

子どもとの接し方について悩んでいるという方が非常に多い結果となりました。
放課後等デイサービスでは、個々の障がいや発達の特性に合わせてより伝わりやすい言葉の選び方を探したり、楽しく学習を進めていく方法について常に模索していく必要があります。
また、専門外の業務が多いことに戸惑うことがあるという意見も聞かれました。

放課後等デイサービスで働くのに向いている人

子どもが好きな人

障害者福祉施設が働く以上子ども好きというのは大切な要素ですが、そこから一歩踏み込んで、障がいや発達に特性がある子どもに寄り添い理解者であろうとする姿勢が求められます。
アンケートでも「療育者であり理解者であることが必要」という回答がみられました。
子どもにとって、より良い時間を提供したいというサービス精神や遊び心も大切だという声も聞かれました。

広範囲の業務を楽しみながらこなせる人

放課後等デイサービスは少人数のスタッフで運営していることもあり、それぞれのスタッフに求められる業務は多岐に渡っています。
送迎や書類仕事など療育以外の仕事も臨機応変に楽しめる柔軟さを持っている人が望ましいでしょう。

分野にこだわらず新しい知識を吸収できる人

専門職同士がチームを組んで業務にあたる病院とは違い、放課後等デイサービスでは事業所に理学療法士が一人しかいないことも珍しくありません。
さまざまな障がいや発達の特性を持つ子どもを支援するには、幅広い知識を備えている必要があります。
時には専門分野に拘らず新しい知識を吸収して、仕事に活かせる柔軟性と積極性を持つ人が向いています。

沖縄 理学療法士の求人事情

放課後等デイサービスにおいて、理学療法士の配置は必須ではありません。
しかしリハビリテーションのプロが加わることで、より専門性の高いきめ細かなケアの提供が期待できます。
そのため求人市場においても、理学療法士の需要は比較的高いほうだといえます。

沖縄の放課後等デイサービスに勤務する理学療法士の給与は、約22万円～28万円程度が一般的です。
国家資格ということもあり給与や待遇は高いほうですが、学校が終わってから利用者が訪れるということもあり、昼前から夜までのシフト制を導入している事業所も少なくありません。
勤務形態が病院と異なることも多いですが、残業はほとんどないのでワークライフバランスを重視して働きたいという方にも向いています。

まとめ

この記事では放課後等デイサービスと病院勤務における、理学療法士の仕事の違いについて解説してきました。
転職やキャリアアップをはかる際の参考にしてくださいね。

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【募集番号0052：】児童デイサービスまはろ天久：理学療法士

【募集番号0037：】児童デイサービスまはろ伊佐：理学療法士

Chiyo

沖縄出身の両親から生まれた内地育ち。
内地と沖縄から見た求人のあれこれをご紹介します。