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令和6年(2024年)介護報酬改定のポイント!認知症の対応力向上を解説

2024年介護報酬改定では認知症対応力向上について、いくつもの改定がありました。

この記事では、2024年報酬改定による認知症対応力向上について、厚生労働省の資料から抜粋して、その内容と事業者が注意すべき点をわかりやすく解説します。

今改定の認知症対応力向上ついて知りたい方はぜひ参考にしてください。

認知症患者の増加とケアの重要性

最近よく話題に上がる認知症ケア。
なぜ今認知症ケアの重要性が叫ばれているのでしょうか?

その理由は、まず認知症患者が年々増え続けていることです。

R5.8厚生労働省認知症への対応力強化資料)によると、現在、認知症の有病率は、80-84歳で22.4%、85-89歳で44.3%、90歳を超えると64.2%となっており、今や誰もが当たり前にかかる病気と認識できます。

また認知症のケアには以下のような困難さがみられます。

・行動変化やコミュニケーションの困難さへの対応
・24時間体制のサポートが必要
・介護者の精神的ストレスが大きい
・医療との連携が必須

このように認知症の患者は年々増加しており、ケアが困難であることから、近年、適切なケア体制の整備が急務とされています。

認知症対応力向上に関連する改定

令和6年の介護報酬改定でも、多くのサービスにおいて「認知症対応力向上」のための改定が行われました。
ここからは、認知症対応力向上に関連する改定を、サービスごとに一つひとつ解説していきます。

なおここで紹介する改定内容は、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」を参考にしています。

訪問系サービスの認知症専門ケア加算の見直し

訪問系サービス(訪問介護、訪問入浴介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護)の認知症専門ケア加算について、単位数は変更ありませんが、算定要件について一部変更がありました。
具体的には、まず認知症専門ケア加算(Ⅰ)では自立度Ⅲ以上となっていた部分がⅡ以上に変更になっています。

●認知症高齢者の日常生活自立度以上の者が利用者の2分の1以上
●認知症介護実践リーダー研修等修了者を認知症高齢者の日常生活自立度以上の者が20人未満の場合は1以上、20人以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10または端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置
● 認知症高齢者の日常生活自立度以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合

つづいて、認知症専門ケア加算(Ⅱ)では以下の文言が追加になっています。

認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が利用者の100分の20以上

訪問リハの集中的な認知症リハビリテーションの推進

訪問リハビリでは、退院後や訪問開始後の認知症の方に対して、集中的なリハビリテーションを実施した場合に算定可能な加算が新設されました。

●(新設)認知症短期集中リハビリテーション実施加算 240単位/日

通所介護等における認知症加算の見直し

通所介護や地域密着型通所介護では、認知症加算の算定要件に、定期的な会議の開催が追加されました。
また介護を必要とする認知症者の占める割合について、要件の緩和が図られました。

●当該事業所の従業者に対する認知症ケアに関する事例の検討や技術的指導に係る会議を定期的に開催していること。 (新設)
●指定通所介護事業所・指定地域密着型通所介護事業所における前年度または算定日が属する月の前3月間の利用者の総数のうち、日常生活に支障を来すおそれのある症状又は行動が認められることから介護を必要とする認知症の者の占める割合が100分の15以上であること。

(看護)小規模多機能型居宅介護の認知症加算

(看護)小規模多機能型居宅介護では、認知症加算について、認知症ケアに関する専門的研修修了者の配置や認知症ケアの指導、研修の実施を評価するため、新たな加算区分に変更、新設となっています。

改定前 改定後
認知症加算(Ⅰ)  800単位/月 認知症加算(Ⅰ)  920単位/月
認知症加算(Ⅱ)    500単位/月 認知症加算(Ⅱ)  890単位/月
認知症加算(Ⅲ)  760単位/月
認知症加算(Ⅳ)  460単位/月

なお算定要件には、認知症介護実践リーダー研修修了者の配置や、認知症ケアの実績、会議の開催や研修計画などの取り組みが求められています。

グループホーム、介護保険施設の認知症予防の取り組み

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)や介護保険施設においては、平時からの認知症の行動・心理症状の予防、早期対応の推進のため、新たな加算が設けられました。

●認知症チームケア推進加算(Ⅰ)150単位/月(新設)
●認知症チームケア推進加算(Ⅱ)120単位/月(新設)

なお算定要件には、認知症利用者の割合のほか、スタッフの研修、チームケアの実践、認知症ケアの計画的な取り組みなどが求められています。

老健施設の認知症短期集中リハ実施加算の見直し

介護老人保健施設の認知症短期集中リハビリテーションは、利用者の居宅を訪問し生活環境を把握することを評価し、新たな加算区分が新設されました。

改定前 改定後
認知症短期集中リハビリテーション実施加算 240単位/日 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) 240単位/日(新設)
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ) 120単位/日(変更)

このように、令和6年の介護報酬改定では、認知症への対応力向上を目的に、訪問系サービス、通所系サービス、施設系サービスなど、介護保険サービス全般にわたり改定が行われています。

認知症ケア 改定を踏まえた注意点

ここでは、令和6年介護報酬改定を踏まえ、認知症対応強化や加算取得に関する注意点を解説します。

1.スタッフの負担に注意

認知症に関する加算が充実し取得できることは素晴らしいことですが、反面、加算を取得できるということは認知症の利用者の方が多いということです。
認知症の利用者の方には、日常生活のさまざまな場面で支援が必要になります。
そのためスタッフの負担が大きくなることは避けられません。
事業者は、支援の質を確保するとともに、スタッフの心身の負担やケアにも十分な配慮が必要です。

2.認知症高齢者の自立度の把握

訪問系サービスの認知症専門ケア加算のように、加算の取得のためには日常生活自立度の把握が必要です。
認知症高齢者の日常生活自立度の決定に当たっては、医師の判定結果または主治医意見書、医師の判定がない場合は、認定調査員が記入した認知症高齢者の日常生活自立度を用います。

医師は、判定に際して日ごろの状況についてサービス事業所と連携をとる場合もあります。
医師に適切な情報提供ができるように、現在の自立度を踏まえた利用者の状況についてはしっかり把握しておきましょう。

3.認知症利用者の割合計算は早めに

認知症ケアの加算には、認知症利用者の割合によって取得できるかどうか決まるものがあります。
それぞれの加算に割合の計算方法があるため、ミスのないように早めに準備をしておきましょう。

まとめ

この記事では、22024年報酬改定による認知症対応力向上について、その内容と事業者が注意すべき点を解説しました。
この記事をまとめると以下のようになります。

この記事のまとめ

  • 認知症患者は年々増え続けており、認知症有病率は85-89歳で44.3%、90歳を超えると64.2%と誰もが当たり前にかかる病気となっている。
  • 令和6年度介護報酬改定では、認知症対応力向上に関して、訪問系サービス、通所系サービス、施設系サービスなど、全般に渡り改正が行われた。
  • 認知症に関する加算を取得する場合は、スタッフの負担に十分配慮するとともに、自立度の把握や認知症利用者の早めの割合計算などが大切である。