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発達性強調運動障害(DCD)とは?特徴や療育について解説
発達性強調運動障害(DCD)は、発達障がいの子どもが併発しやすいとされている症状のひとつです。
この記事ではDCDの具体的な症状や特徴を解説するとともに、家庭でできる取り組みや放課後等デイサービスという選択肢についてもご紹介しています。
目次
発達性強調運動障害(DCD)とは?
DCDとは、麻痺など大きなけがや病気がないにもかかわらず、極端に不器用・運動が並外れて苦手などの困難が見られる障がいです。
ここでいう運動とはスポーツだけではなく、段差の上り下りや文字を書くことなどの生活動作も含まれます。
これらの運動は、手足・目など複数の器官を同時に動かすため「協調運動」と呼ばれます。
例えば段差を上り下りするときは、目で段差の位置や高さを確認しながら両足を交互に動かしますが、DCDではその協調運動が脳機能の障がいによりぎこちない動きになってしまうのです。
5~11歳の5~6%がDCDであり、11歳以降でも50~70%の割合で症状が残るといわれています。
人間の運動には粗大運動と微細運動があり、診断の際はこれらの運動機能の状態を検査します。
歩行や寝返りなど全身を使った大きな運動
立つ・歩くなどの先天的にもつ運動と、自転車に乗る・ブランコを漕ぐなど後天的に身につける運動があります。
・微細運動
箸やハサミを使う・字を書くなどの手先を使う運動
粗大運動を身につけたあとに、より細かい感覚を使った微細運動を身につけます。
DCDの診断では、学校からの報告や本人の病歴・各運動機能の検査結果を踏まえて評価されます。
5歳までは発達に遅れがあっても追いつくことがあるため、5歳以降に診断されるのが一般的です。
発達性強調運動障害(DCD)の特徴
DCDは早産や低体重で生まれた子どもに多いとの報告があります。
発達障害に分類されていて、他の発達障害(ASD、ADHD、LD)と併存することも少なくありません。
ADHD(注意欠如・多動性障害)は、DCDのある子どものうち30~50%が併存しているといわれています。
他の発達障害と比べるとDCDは認知度が低く理解されにくい現状があるため、障害ではなく不器用という言葉で片付けられてしまいがちです。
本人の努力不足のせいにされることで子どもが劣等感を感じてしまい、精神的な問題を抱えてしまうこともあります。
DCDは脳機能の問題なので、自然によくなるわけではありません。
本人や家族がつらい思いをしないように、できるだけ早い段階で障がいを発見し、支援を行うことが大切です。
発達性強調運動障害(DCD)によくみられる症状
DCDは乳児期からその症状がみられ、成長に伴ってさまざまな困難が起こります。
一見すると不器用なだけに見えることもDCDの可能性があるため、子どもの得意・不得意は何かを把握してあげることが大切です。
成長段階ごとにみられる症状には以下のような例が挙げられます。
乳児期
・寝返り、ハイハイがうまくできない
・ミルクの飲みが悪い
・離乳食を食べるとむせる
幼児期
・ハイハイやお座り、歩き始めが遅い
・支えや背もたれ無しで座るのが不安定
・ボタンやファスナーをうまく使えない
・平たんな場所で転ぶ
・食べこぼしが多い
学童期
・箸をうまく使えずおかずを落としてしまう
・体育が苦手(跳び箱や鉄棒などあらゆる運動ができない)
・文房具をうまく使えない(定規をしっかり押さえられないなど)
・楽器を演奏できない(リコーダーの穴をうまくふさげないなど)
・マスに合わせて文字が書けない
手指の運動
・文字を書くのが苦手
・ものをよく落とす
・ひもをうまく結べない
全体の運動
・スキップやジャンプがうまくできない
・歩くときにふらつく
・姿勢が保てない(立っているときふらつく、立っていられず座り込むなど)
目と手を動かす運動
・サッカーボールを蹴れず空振りしてしまう
・キャッチボールが苦手(飛んでくるボールに対して手を伸ばすタイミングがずれている)
・虫を捕まえられない(虫と網の距離感がつかめない)
発達性強調運動障害(DCD)の治療は?
DCDは身体の運動機能に困難が起こる障がいですが、その原因は身体ではなく脳機能にあります。
治療の際は、身体の動きと脳(心)の意識を連携させることが大切です。
DCDの治療方法は理学療法と作業療法の2つに分けられ、それぞれを組み合わせて個人に合った治療を行います。
理学療法
理学療法は歩行や立ち上がり・寝返りなどの身体的な機能の回復・向上を目的として行います。
理学療法士という国家資格をもつ専門家により行われ、体操やマッサージ、電気刺激・温熱などの物理的手段を用いることもあります。
DCDにおける理学療法の内容は以下の通りです。
・キャッチボールをして協調運動の練習を行う
・バランスボールに乗って体幹の使い方を意識してもらう
・積み木や粘土で遊んで指先の感覚を養う
作業療法
作業療法では、文字を書く・着替えるなどの日常生活動作をスムーズに行えるように訓練をします。
作業療法士という国家資格をもつ専門家によって行われます。DCDにおける作業療法の内容は以下の通りです。
・着替え、食事など日常動作の練習を行う(ボタンをかける、箸で物をつかむなど)
・習字や工作をして、文字の書き方や文房具の使い方を練習する
家庭でできる取り組み
発達性強調運動障害(DCD)とうまく付き合っていくには、家庭での地道なトレーニングも大切です。
ここでは、家庭でできる取り組みについて解説しています。
身体を使う運動をする
外での鬼ごっこやアスレチックなど、全身運動をすることで感覚や身体の成長につなげることができます。
DCDのある子どもは周りの子どもたちと比較して運動できない自分に劣等感を感じ、運動そのものに苦手意識を持ってしまうケースもみられます。
自分のペースで自由に運動することで、身体を動かす楽しさを感じてもらうことが大切です。
楽しいことや好きな遊びを通して運動の練習をする
子どもにとって家はリラックスできる場所なので、訓練のような堅苦しい運動を行うとストレスになることも。
料理やままごとなど、子どもが楽しんで取り組める活動を通して運動機能を鍛えていきましょう。
できることに取り組んでもらい成功体験を増やす
失敗体験が重なると、子どもにとって大きなストレスになってしまいます。
できないことではなく、できることに目を向けることも大切です。
子どもが濡れ布巾をうまく絞れず悩んでいるようであれば、無理をさせずに布巾は保護者が用意をして、テーブルを拭くことだけを手伝ってもらうようにしましょう。
できたことがあれば、すかさずほめたり感謝を伝えたりすることも大切です。
子どもが使いやすい道具や過ごしやすい環境を用意する
苦手を克服することにこだわらず、適切な道具や環境を整えることも大切です。
・自転車は身体に合ったサイズにする
・左右の靴紐の色を変える
・文房具は持ちやすい六角形のえんぴつやグリップを使用する
・椅子を足がしっかりつけられる高さにする
児童デイサービスまはろの運動療育について
児童デイサービスまはろではやる気スイッチグループと東京大学深代千之教授が監修した発達障がい児向けの運動療育プログラム「まはろスポーツカリキュラム」を提供しています。
9つの基本動作(走る・跳ぶ・投げる・打つ・捕る・蹴る・組む・バランス・リズム)をバランス良く育む多彩なプログラムを、子どもの障がいや特性に合わせて選択。身体能力と神経系統の発達を目指します。
DCDのある子どもは運動への苦手意識が強いものですが、まはろスポーツカリキュラムでは発達状況に応じてプログラムを調整するので、無理なく楽しく成功体験を積み重ねられます。
年齢が違う子どもとのグループトレーニングを取り入れることで、社会性や協調性を身につける効果も期待できるのです。
児童デイサービスまはろには作業療法士、理学療法士が在籍しており、個別支援計画に基づいて専門性の高い療育を提供しています。
まとめ
この記事では発達性強調運動障害(DCD)の特徴や療育について解説してきました。
株式会社ライフデザインでは複数の放課後等デイサービスや児童発達支援を展開しており、専門教育を受けたスタッフによるきめ細かな療育を行っています。
ご興味をお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事のまとめ
- DCDは脳機能の障がいにより、運動や手先を使う動きを極端に苦手とする症状
- 5~11歳の5~6%がDCDであり、11歳以降でも50~70%の割合で症状が残るといわれている
- DCDの治療方法は理学療法と作業療法の二つに分けられる
- 言語聴覚士が放デイや児童発達支援に在籍することで、長期的かつきめ細やかな療育を行うことが可能になる