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令和6年(2024年)介護報酬改定のポイント!看取りへの対応強化を解説

2024年介護報酬改定では看取り期の対応強化について、いくつもの改定がありました。

この記事では、2024年報酬改定による看取り対応強化について、その内容と事業者が注意すべき点を解説します。

今改定の看取り期対応強化ついて知りたい方はぜひ参考にしてください。

令和6年度介護報酬改定の概要

令和6年度の介護報酬改定では以下のような内容の改定がありました。

1.地域包括ケアシステムの深化・推進

・質の高い公正中立なケアマネジメント
・地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取組
・医療と介護の連携の推進
・ 評価の適正化、重点化
・報酬の整理、簡素化
・看取りへの対応強化
・感染症や災害への対応力向上
・高齢者虐待防止の推進
・認知症の対応力向上
・福祉用具貸与、特定福祉用具販売の見直し

2.自立支援・重度化防止に向けた対応

・リハビリテーション、機能訓練、口腔、栄養の一体的取組等
・自立支援・重度化防止に係る取組の推進
・LIFEを活用した質の高い介護

3.良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり

・介護職員の処遇改善
・生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくり
・効率的なサービス提供の推進

4.制度の安定性・持続可能性の確保

・評価の適正化、重点化
・報酬の整理、簡素化

5.その他

・「書面掲示」規制の見直し
・通所系サービスにおける送迎に係る取扱いの明確化
・基準費用額(居住費)の見直し
・地域区分

今回はこのうち、看取り強化の対応についてとりあげ、一つひとつ解説していきます。

複数のサービスで看取りへの対応強化を評価する改定に

令和6年の改定では、多くのサービスで、看取りの体制を整えている事業所や看取り対応の実績に対して、評価する報酬が設定されています。
今回の看取り対応強化の内容についてサービス別に解説します。

訪問介護の特定事業所加算

訪問介護では、特定事業所加算(Ⅰ)と(Ⅲ)の算定要件に、

・病院、診療所または訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保しており、かつ、必要に応じて訪問介護を行うことができる体制の整備、看取り期における対応方針の策定、看取りに関する職員研修の実施等
・看取り期の利用者への対応実績が1人以上であること

の2項目が新設されました。

「看取り期対応のための適切な体制整備」や「看取りの対応実績がある」特定事業所を評価する見直しとなっています。

訪問入浴介護の看取り実施への評価

訪問入浴介護事業所が、看取りの連携体制を整えたうえで、実際に看取りを実施した場合に評価する加算が新設されました。

●看取り連携体制加算(新設) 1回=64単位 ※死亡日及び死亡日以前30日以下に限る

訪問看護等のターミナルケア加算の見直し

訪問看護等(訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護・看護小規模多機能型居宅介護)のターミナルケアは、医療保険のターミナルケアと同様であるため、医療保険に合わせた評価に変更になりました。

●ターミナルケア加算 2,000単位/死亡月 ⇒ (改定後)2,500単位/死亡月

短期入所生活介護の看取り体制への評価

短期入所生活介護について、看取りの連携体制を整えたうえで、実際に看取りを実施した場合に評価する加算が新設されました。

●看取り連携体制加算 (新設)1日=64単位/日 ※死亡日・死亡日以前30日以下で7日が限度

居宅介護支援事業所のターミナルケアマネジメント加算等の見直し

居宅介護支援事業所のターミナルケアマネジメント加算は、単位数は変更ありませんが、算定要件の緩和やターミナルケアに関連する加算の算定回数が変更となりました。

【ターミナルケアマネジメント加算の算定要件】
自宅で最期を迎えたいと考えている利用者の意向を尊重する観点から、人生の最終段階における利用者の意向を適切に把握することを要件としたうえで、この加算の対象となる疾患を末期の悪性腫瘍に限定しないこととし、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者を対象とする。

【特定事業所医療介護連携加算】

ターミナルケアマネジメント加算の算定回数 改定前 5回以上 → 改定後 15回以上

介護老人保健施設のターミナルケア加算の見直し

介護老人保健施設でも看取りの充実を図るために、区分ごとの単位数が変更となりました。

区分 改定前 改定後
死亡日45日前~31日前 80単位/日 72単位/日
死亡日30日前~4日前 160単位/日 160単位/日
死亡日前々日、前日 820単位/日 910単位/日
死亡日 1,650単位/日 1,900単位/日

介護医療院の看取り対応の充実

介護医療院の看取りについては、単位数の変更はありませんが、介護医療院の基本報酬の算定要件および施設サービス計画の作成において以下の取り組みが求められています。

本人の意思を尊重した上で、原則入所者全員に対して「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に沿った取組を行うこと。

各加算の細かい算定要件については、厚生労働省 令和6年度介護報酬改定の主な事項についてをご参照ください。

看取り対応強化 事業所が注意すべき点

看取り期のケアは、ご利用者やそのご家族はもちろん、ケアを提供する側にとっても、心理的に重い負担となることがあります。
そのため事業所は、しっかりとした体制を整えるとともに、スタッフへの配慮がとても大切です。
ここでは、看取り対応に関連して事業所が注意しておくべきポイントを紹介します。

実践につながる研修を

看取りの加算を取得する場合、スタッフへの研修は必須ですが、研修の内容はとても重要です。
看取り期のケアは、医学的な知識や医療との連携、倫理的な問題への対処方法など、通常の介護とは異なる部分が多くあります。
また、看取り対象者をお受けした場合、必ずケアを実践することになります。

そのため看取り期ケアにおけるスタッフ研修は、ただ知識を習得するだけのものではなく、実際のケアの場面で応用できる技術や心構えを身につけられるものにする必要があります。

スタッフの精神的なケアは重要

看取り期のケアにあたるスタッフの精神的なケアは、非常に繊細な対応が必要です。
具体的には、スタッフが十分な休息がとれる勤務調整や、継続的な教育研修、個人ではなくチームとして取り組むための体制づくりなどが大切にです。

話した内容はしっかり記録に

看取り期のケアにおいては、特にご利用者やご家族とのコミュニケーションが非常に重要です。
そしてそのすべてが、ケアの内容に直接影響を与えます。
そのため、話した内容を正確に記録したり、チーム全体で共有することがとても大切です。

死亡日からさかのぼって請求

これは加算請求に関しての注意点ですが、看取りに関する加算は少し特殊で、死亡日からさかのぼって日数を計算し請求するようになっています。
そのため看取り支援のための準備が遅れると加算を取得できなくなります。
看取り期の判断は医師が行いますが、対応の必要性が出てきた段階で、医療チームやケアマネジャー、事業所などが協力し、早めに対応しましょう。

また、ご利用者の自己負担は、死亡された月にまとめて請求になることがあります。
この点も、誤解のないようにご家族にしっかりと説明しておくことが大切です。

まとめ

この記事では、2024年報酬改定による看取り対応強化について、その内容と事業者が注意すべき点を解説しました。
この記事をまとめると以下のようになります。

この記事のまとめ

  • 2024年の介護報酬改定では、訪問介護や訪問入浴介護、介護老人保健施設など多くの事業において看取り強化に関する改定が行われている。
  • 看取り強化の内容では、算定要件の変更や加算単位数増などの対応が行われた。
  • 看取り期の加算を取得する場合は、スタッフへの研修や精神的ケア、会話内容の正確な記録と共有などに注意する必要がある。