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令和6年(2024年)障害福祉報酬改定の生活介護への影響は?要点と課題を解説

令和6年度障害福祉報酬改定が行われ、同年4月1日より適用されました。
この改定は生活介護の現場に直結する事柄が多く、さまざまな影響が懸念されています。この記事では今回の障害福祉報酬改定が与える影響と、これからの課題について解説しています。

令和6年度障害福祉報酬改定の概要


令和6年度障害福祉報酬改定では、事業所の報酬の仕組みやサービス体制について見直されました。特に以下を主な論点として、議論が行われています。

・障害者が地域で生活できるように必要な環境を整える。
・発達障害の認知拡大や働き方の多様化などにより生まれた新たなニーズに対応する。
・近年の物価高騰・支援者不足・賃金上昇などの社会状況を踏まえて、サービス体制を見直す。

生活介護においても基本報酬の設定が変更されるなど、大きな影響が及ぶ改定となっています。

令和6年度障害福祉報酬改定における生活介護報酬改定の要点


今回の報酬改定で生活介護に関連する改定のうち、大きな変更点や重要なポイントを以下にまとめました。

基本報酬の改定

営業時間で設定されていた基本報酬が、今回の改正でサービス提供時間別に変更されました。

これまでは利用時間が短くても営業時間で基本報酬を算定していましたが、利用者それぞれの利用時間が適切に反映されていないことが問題視され、今後はサービスを利用した時間で算定することとなりました。

3時間未満から1時間ごとに区分され、8時間以上9時間未満まで7つの区分に分けられています。この改正に合わせて、延長支援加算対象がこれまでの8時間以上から9時間以上に変更されました。

利用定員規模の設定区分にも変更がくわえられています。
これまで基本報酬の利用定員規模は20人ごとに区分されていましたが、今回の改正で10人ごとに細分化されました。

利用者数の増減に対応しやすくなることで小規模事業所を運営しやすくするためと、障害者の地域移行を促すのが目的とされています。

サービス提供時間 障害支援区分
区分6 区分5 区分4 区分3 区分2以下
3時間未満 449単位 333単位 228単位 204単位 185単位
3時間以上4時間未満 575単位 427単位 293単位 262単位 236単位
4時間以上5時間未満 690単位 512単位 351単位 313単位 284単位
5時間以上6時間未満 805単位 597単位 409単位 366単位 332単位
6時間以上7時間未満 1,120単位 833単位 570単位 510単位 463単位
7時間以上8時間未満 1,150単位 854単位 584単位 523単位 475単位
8時間以上9時間未満 1,211単位 915単位 646単位 584単位 536単位

※福祉専門職員加算(Ⅲ)6単位/日との併給可。

手厚いケアが必要な人への支援に対する評価の拡大

専門性の高い支援を行っている事業者を評価するため、重度障害者など手厚いケアが必要な人への支援について加算の拡大・追加が行われました。

医療的ケアが必要な人への支援については、常勤看護師や人員配置に関する加算の拡充、入浴支援や喀痰吸引を行った際の加算の新設がありました。
重度障害者への支援については、視覚・聴覚・言語障害者への支援加算の拡充、強度行動障害の人に対する支援への加算(集中的支援加算)の新設などが行われています。

主な加算内容については以下の通りです。

人員配置体制加算(Ⅰ)利用定員20人以下→321単位/日
喀痰吸引等実施加算→30単位/日
医療型ケア対応支援加算→120単位/日
基礎研修受講者を20%以上配置し、区分6かつ行動関連項目10点以上の者に支援を行った場合→360単位/日
集中的支援加算(Ⅰ)→1000単位/月

利用者の人権や意思の尊重に関する改定

利用者本人が自分で選択し希望する暮らしを実現するために、支援体制について以下のような取り決めがされました。

・支援内容について会議を行う際は、利用者本人も参加して意思を確認するなど利用者の意思決定を支援する。
・支援の際に、利用者が望まない異性介助が行われないように同性の職員が支援をするなどの配慮を行う。

また令和4年から義務になった障害者虐待防止措置を行っていない事業所は、基本報酬が減算されることとなりました。
以前から制定されていた身体拘束廃止未実施減算についても、所定単位数から1%減算されるなどの措置が追加されるようになっています。

職員の処遇改善に関連する加算の見直し

これまでは併給できなかった福祉専門職員配置等加算(I)または(II)と(III)が併給できるようになりました。
常勤職員が多く、勤続年数が長い特徴がある生活介護の支援体制を適切に評価するための改定です。

福祉・介護職員の処遇改善加算の一本化と、加算の増額が行われるようになりました。これまでベースアップ等支援加算、特定処遇改善加算、処遇改善加算に分かれていた加算が、「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化され、加算が引き上げられます。

新加算は4段階にわけられ、うち新加算(Ⅳ)の加算額1/2以上が月額賃金として職員に支給されます。

令和6年度障害福祉報酬改定による生活介護への影響


今回の改定では生活介護事業所への大きな影響が予想されています。ここでは、予想される影響について解説しています。

経験豊富な職員を配置する事業所の評価が高まる

非常勤や経験の浅い職員を雇うことで、人件費を低く抑えている事業所があることが問題視されていました。

福祉専門職員配置等加算が併給可能となることで、経験を積んだ優秀な職員の配置が正しく評価され、より質の高いサービスが提供できると考えられます。

専門性の高いサービスを行う事業所への評価が高まる

今回の改定では、医療的ケアなど手厚い援助を必要とする人の支援に関する改定が行われ、看護師や管理栄養士など専門職による支援を評価する加算の拡大・新設が多くありました。

専門性の高い支援を行う事業所への適切な評価が期待できる内容となり、支援の質の向上につながることが期待されます。

ここまではプラス面の影響について解説しましたが、改定内容のなかには現場にとってマイナスの影響が予想されるものもあります。

事業所の収入が減少する可能性がある

生活介護の基本報酬について、これまでの営業時間ごとではなくサービス提供時間ごとに報酬設定をするという大きな改定が行われました。この仕組みにより受け取れる基本報酬額が少なくなるため、事業所は収入が大きく減ることになります。

さらに利用時間には送迎が含まれていないため、利用が短時間の場合や遠方で送迎の時間が長い場合には加算がより少なくなります。

事業所の事務的負担が増える可能性がある

基本報酬が減ってしまうと、受ける加算を増やして収入を上げる必要があります。今回の改定でも基本報酬での収入が少なくなる分、加算の新設や単位数の引き上げなどが行われました。

しかし加算を受けるには届け出が必要だったり、それぞれに細かな達成条件があったりするため、事業所の事務的作業や負担の増加が懸念されます。

専門職や人材確保が難しい事業所への影響

加算には受けられる条件があり、その中には複数の職員や専門職が必要な加算もあります。例えば医療的ケアが必要な人に関する加算が拡充されましたが、これらには常勤看護師・研修を受けた職員の配置や複数職員による支援が条件となっているのです。

専門知識をもった職員の確保が前提となるため、加算を受けるハードルが高いという問題点があります。
十分な職員の確保が難しい小さな事業所などは特に影響を受ける可能性があります。

ライフデザインウェルビーについて


ライフデザインウェルビーは日常生活の支援や生産活動を提供する、生活介護事業所です。

カフェのようなおしゃれな空間で、一人ひとりに合わせた自立支援プログラムやレクリエーションを受けることができます。

朝夕の送迎や昼食の提供も行っているので、ご本人だけでなくご家族への負担も最小限に抑えられます。また、ITを活用した生産活動にも力を入れており、作業をやり遂げて収入を得るという達成感を味わえるのも大きな特徴といえるでしょう。

当社には相談支援事業所を併設しており、見学から申請、サービス開始までワンストップでサポートいたします。
興味を持たれた方は、どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ

この記事では障害福祉報酬改定によって生活介護事業所が受ける影響や課題について解説しました。

この記事のまとめ

  • 令和6年度障害福祉報酬改定では、事業所の報酬の仕組みやサービス体制が大幅に変更された
  • 看護師や管理栄養士など専門職による支援を評価する加算が拡大・新設されるなど、専門性を高く評価する傾向がある
  • 一方で加算条件を満たすことができない事業所は、収入が大幅に減少する可能性もある