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就労支援にはどんな種類がある?A型・B型・移行支援など違いを解説!沖縄の就労支援事業所の実態も
みなさんは障がいのある方の就労支援の種類についてご存じですか?
就労支援には継続支援や移行支援などの種類があり、提供しているサービスは大きく違い、そこで働くスタッフの仕事もさまざまです。
本記事では就労支援の種類に加えて、沖縄の就労支援事業所で行われている実際の支援について紹介しています。
就労支援事業所のスタッフとして働きたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
就労支援とは
就労支援とは何らかの理由で働くことが難しくなった人に、一人ひとりの状況に合わせた就労ができるよう支援することを言います。
対象はさまざまですが、ここでは障がいのある方に向けた就労支援について解説していきます。
就労支援の種類
就労支援は、就労訓練や就労の場の提供、一般企業就職後の定着支援などさまざまな方向から行われます。
そして障がいのある方への支援にはおもに、
・就労継続支援
・就労移行支援
・就労定着支援
の3種類があります。
ここからは、この3つの内容や、それぞれの違いについて紹介します。
就労継続支援
障がいや病気により一般企業で働くことが難しい人を対象に就労の場を提供する事業です。
就労継続支援には、A型とB型の2種類があります。
就労継続支援A型
働くことは可能なものの一般企業への就職が難しい人が対象です。
事業所と雇用契約を結び、労働者として働きながら就職に向けて知識や能力を身につける訓練を行います。
A型で働きながら、さらに就労移行支援や一般企業への就職を目指します。
就労継続支援B型
病気や障がい等があり、雇用契約を結んで働くことが難しい人が対象のサービスです。
B型では、雇用契約はなく作業などの生産的活動、労働の訓練を行い、行った作業に対して賃金が支払われます。
訓練を積み、就労継続支援A型への移行などステップアップを目指します。
就労移行支援
一般企業への就職を目指す障がい者の方へ、就職に必要な知識やスキルを身につけるための支援を行います。
移行支援は訓練の場であるため、給与や工賃は発生しません。
就労定着支援
一般企業に就労している障がい者が対象のサービスです。
障がいのある方が一般就労を継続するには、日常生活や会社での人間関係など、さまざまなハードルがあります。
定着支援では、障がいのある方が一般企業での就労を継続できるように、会社や家族、福祉事業所が連携して、日常生活や社会生活の課題へ指導や助言を行います。
【就労支援サービスの違いまとめ】
就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
---|---|---|---|
対象 | 障がいはあるが働くことは可能で、一般企業への就職を目指す方 | 働くことは可能だが、一般企業への就職は難しい方 | 雇用契約に基づいた就労が難しい方 |
提供サービス | 就職に必要な知識やスキルを身につける支援 | 事業所内での就労提供、就労訓練 | 作業訓練、生産活動の提供 |
雇用契約 | なし | あり | なし |
賃金形態 | 賃金なし | 給与 | 工賃 |
ここまでは、障がい者における就労支援の内容について解説しました。
ここからは、沖縄県の就労支援の状況や就労支援事業所の実態から、具体的な支援の内容をみていきましょう。
沖縄の就労支援事業所の実態
まずは沖縄県における障がい者の就労状況について簡単に紹介します。
沖縄県 障がい者の就労の状況
沖縄労働局発表の令和3年障がい者雇用状況集計結果によると、沖縄県内の障がい者の雇用者数はかなり増えてきています。
特に民間企業における雇用増加が顕著で、民間企業に雇用されている障害者の数は 5,167.0人となっており、前年より276.0人増加(前年比5.6%増)し、18年連続で過去最高となっています。
障害者雇用促進法では、事業主に常時雇用する従業員の一定割合以上の障がい者を雇うことを義務付けており、沖縄県は障がい者にとって働ける環境が整いつつあるようです。
就労環境が整いつつある沖縄県ですが、どのような就労支援が行われているのでしょうか?
ここからは沖縄の就労支援事業所の実態を紹介していきます。
沖縄の就労支援事業所の実態
沖縄県には300を超える就労支援事業所がありますが、特に就労継続支援B型の事業所の多い傾向があります。
また継続支援A型とB型、B型と就労移行支援の複合型の事業所も多くなっています。
では沖縄県のそれぞれの就労支援事業所で行われている作業内容について紹介していきます。
沖縄県 就労継続支援A型事業所の例
軽作業がメインのA型事業所
取り組みやすい軽作業を中心に働くことができるA型事業所。
例えば清掃活動を行う事業所では、アパート入退去時の清掃作業やホテルのベッドメーキング、備品交換、リネン搬入など一般企業と変わらない仕事を行います。
SNS・ITに特化したA型事業所
最近はSNS・IT事業をメインにした就労支援A型事業所も増えてきています。
このような事業所では、若い世代が受け入れやすいインスタグラムなどSNSの運用支援やコンサル、YouTubeの動画制作や編集、ECサイトでの不用品販売などの仕事につくことができます。
そのほかゲーム実況配信などを行える事業所もあり、それぞれのやりたいことを仕事にしている利用者の方も多くいます。
飲食業中心のA型事業所
食にまつわるさまざまな仕事を提供している事業所です。
飲食業のスペシャリストを目指し、弁当の調理・仕込み作業・盛付けなど実際の調理業務から、メニューデザインやポスター作成、FacebookなどのSNS更新、インターネット販売の管理業務など、飲食に関する幅広い業務に従事することができます。
沖縄県 就労継続支援B型事業所の例
創作系がメインのB型事業所
創作系の作業を仲間とともに楽しみながら実施しているB型事業所。
工芸品の制作、沖縄ならではのサンゴ飾りづくり、封筒作成などの創作活動をメインに行っています。
そのほか受託により箱折り作業など、一般の工場での仕事なども実施しています。
園芸活動を多く行っているB型事業所
農業の専門技術を持った職員の指導のもと、沖縄特産の「美らトマト」など、トマトの生産に特化した野菜作りをしています。
この事業所では、トマトを育てるだけでなく、販売や収穫体験のスタッフとして関わる作業も提供しています。
園芸や農業活動を中心に作業活動を提供している事業所も少なくありません。
多種多様な作業を提供しているB型事業所
なかには、ある分野に特化するのではなく、農業から清掃活動、IT関連、創作活動まであらゆるジャンルの活動を用意し、一人ひとりに合った作業を提供している事業所もあります。
沖縄県 就労移行支援事業所の例
一般就労を目指し、おもに就労に必要な知識や能力向上の訓練、関連機関との連携を行っています。
一人ひとりに合った移行支援ができるように、多くの事業所で複数の活動を提供しており、沖縄の事業所で行われている活動内容をいくつかご紹介します。
ビジネススキルのトレーニング
身だしなみ講座、電話応対のマナー、対面でのコミュニケーションマナーなど必要なビジネススキルを学びます。
トレーニングは事業所内だけでなく、企業に出向いて実習を行うこともあります。
農作業分野のトレーニング
高齢化による人手不足が深刻化している農業分野。
最近は農福連携という言葉があるように、障がいのある方の農業分野への就職が増えてきています。
作業は一人ひとりの障がいや特性に合わせて、できることを伸ばせるように作業内容を分けて行われています。
例えば、草引き作業、農業機械の操作訓練、運搬訓練、野菜づくりの学習、野菜のパック詰め練習など、可能なことを行っていきます。
パソコン操作のトレーニング
今の時代パソコン操作は就職に必須。
パソコンの基礎学習、ワードやエクセルの使い方学習、実際の文書作成など、働くために必要な基本的なパソコン操作のトレーニングを行います。
まとめ
今回は就労支援事業所の種類や違いに加え、沖縄県の就労支援事業所の実態について紹介しました。
この記事をまとめると以下のようになります。
この記事のまとめ
- 就労支援には、継続支援A型、B型、移行支援、定着支援などの事業所がある。
- A型事業所ではおもに雇用契約を結び、事業所で仕事を提供している。
- B型事業所では雇用契約は結ばず作業を提供し、作業や就労の訓練を提供している。
- 就労移行支援では一般企業への就職支援、就労定着支援では一般企業への就職後のフォローアップをしている。