- HOME
- 沖縄の介護福祉完全ガイド
沖縄の放課後等デイサービス(児童デイ)で働く理学療法士の実態!給料や待遇、残業は?
理学療法士というと老人介護施設や整形外科などが中心の職業というイメージをお持ちの方も多いと思います。
実は児童デイサービスなどの障がい児をケアする施設においても、需要が高まっているのです。
この記事では児童デイサービスで理学療法士がはたす役割や、給与などについて解説しています。
目次
児童デイサービスとは
児童デイサービスとは、「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」の二つのサービスを総称したものです。
2012年4月に改正された児童福祉法に基づく障がい児福祉サービスの形態で、「児童発達支援」は未就学児を対象に、「放課後等デイサービス」は小学生~18歳未満を対象にしています。
いずれの施設も利用者数は拡大傾向にあり、平成26年度には児童発達支援 約66,700人・放課後等デイサービス 約88,360人だった利用者数が、令和元年度には児童発達支援 約111,700人・放課後等デイサービス 約226,000人にまで増加しました。
いずれの施設も障がいや発達に特性のある子どもに専門家の視点から支援を行うという点では変わりませんが、対象年齢が異なることから療育にも違いがみられます。
児童発達支援では日常生活における基本動作や読み書き、感情のコントロールなどを学びます。
乳幼児期に大きく発達すると言われている脳と神経のはたらきを高め、心身の発達を促す療育に重点が置かれているのが特徴です。
一方、放課後等デイサービスではそこから一歩踏み込んで、就学などで生じる学習の遅れや人間関係のトラブルといった問題にも取り組みます。進学や就職など、進路に関する療育に特化した事業所があるのも特徴です。
放課後等デイサービスで必要とされる職種
放課後等デイサービスでは日常生活に必要な訓練やレクリエーション、運動など、それぞれの特性や希望に合わせたケアを提供しています。
それぞれがどのようなケアを受けるかは、個別支援計画に基づいて決められています。
各事業所ごとに得意な分野がありパソコン作業や創作活動など、スキルを持つ指導員のもとで活動している事業所も増えています。
事業所ごとに特色はあるものの、放課後等デイサービスでは要件を満たすために以下のような人員の配置基準が定められています。
・児童発達支援管理責任者……1名以上(1名は専任かつ常勤。所定の研修や実務経験などの要件を満たす必要がある)
・児童指導員、保育士など……利用者10名につき2名(うち1名は常勤)。利用者が5名増えるごとに必要な人員が1名ずつ増える
今回ご紹介する理学療法士は、放課後等デイサービスを運営する上での必要な人員配置に含まれてはいません。
ただし機能訓練を実施する場合には機能訓練担当職員配置が義務付けられていて、機能訓練担当職員とは理学療法士や作業療法士などのリハビリ職です。
障がい児のサポートを行ううえで、運動機能回復の専門家である理学療法士の役割は非常に大きいものだといえます。
理学療法士とは
理学療法士とは厚生労働大臣の免許を受けた医療系国家資格のひとつで、PT(Physical Therapist)とも呼ばれています。
資格取得には専門学校などの教育機関で学んだあと、国家資格試験に合格する必要があります。併行して作業療法士の資格を取得する人も多いのが特徴です。
それでは資格名にもなっている「理学療法」とは、具体的にどのようなことを行うのでしょうか?
この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年六月二十九日法律第百三十七号)第二条
理学療法とは上で定義されているように、さまざまな専門的手法を通じて身体を動かす基本能力を引き出すための手段全般を指しており、理学療法士とはそれら全般を行う専門職です。
多くの施設で採用されている、理学療法士が行っている訓練内容は以下のようなものです。
物理療法……温熱、電気、けん引、マッサージ、ウォーターベッドなど
寝返りや立ち歩きなど、基本的な生活動作に必要とされる筋力や関節の可動域拡大を目指して日常生活活動訓練やリハビリ、マッサージや電気治療などを用いた専門性の高い物理療法を行います。
身体の障がいを抱え方がよりQOL(生活の質)を上げるために行う、リハビリテーションのスペシャリストといえるでしょう。
理学療法士というと介護分野やスポーツ医学で活躍しているイメージを持つ方も多いですが、障がい児福祉においてもさまざまな療育の場面で必要とされています。
それでは児童デイサービスにおいて、理学療法士がどのような役割を果たしているのか具体例をご紹介します。
児童デイサービスにおける理学療法士の役割
児童デイサービスにおける理学療法士の役割は障がいを持つ子どもの身体能力を評価して、必要な訓練やサポートなどの計画を立案することから始まります。
障がいの程度によっては、定期的なマッサージや専門知識に基づいたケアが必要になることもあります。
「いま必要なケア」はもちろんのこと、身体の成長も見据えてどのような訓練が必要かを考えていくことも求められるのが特徴です。
ストレッチや体操、筋力トレーニングなどを継続して体幹を強化することで、より持久力が上がり、生活に必要な動作が無理なく行えるようになります。
理学療法士はそれぞれが抱える障がいに合わせて、子どもたちが楽しく身体を動かせる運動プログラムを作成します。
ひとつずつ目標をクリアしていくことで、身体能力の強化や集中力向上だけでなく、達成感や充実感を得て生活を充実させるという大切な役割もあるのです。
株式会社ライフデザインの運営する児童デイサービスまはろでは、やる気スイッチグループと東京大学深代教授監修の発達障がい児童向けの運動療育プログラム「まはろスポーツカリキュラム」というプログラムを導入しています。
児童デイサービスにおいて、理学療法士は子どもたちが安全に身体能力を高め、必要なケアを提供するための中核的役割を果たしているといえるでしょう。
理学療法士を取り巻く現状
現在、理学療法士として働く人は約127,000人ほどいますが、6割以上が医療機関などの医療法関連施設で働いています。放課後等デイサービスのような児童福祉法関連施設で働く理学療法士は全体の2%にも満たないのが現状です。
理学療法を用いた療育を提供する放課後等デイサービスは大変少なく、手探りで環境を整えている事業所も少なくありません。
しかし放課後等デイサービスの事業所は年々拡大傾向にあり、提供するサービスの質の向上が求められています。
そのため、今後も機能訓練担当職員として理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の需要は増えていくと考えられます。
児童デイサービスにおける理学療法士の働き方
児童デイサービスにおいて専門的な支援を提供している理学療法士ですが、その活躍の場は大半が医療施設で、障がい児支援施設で働いている理学療法士はかなり少数です。
ここでは、株式会社ライフデザインで働く理学療法士などの専門職へ行ったアンケートやインタビューをもとに、勤務実態や仕事の内容等をまとめてみました。
児童デイサービスで働こうと考えたきっかけ
・運動やコミュニケーションの療育に力を入れている事業所で理学療法士としてのスキルアップをはかりたかった
・さまざまなタイプの子どもたちと関われる仕事を希望していたため
・カリキュラムや療育の方針に共感したため
放課後等デイサービスで働く理学療法士をはじめとする専門職スタッフは、他業種を経験してから障がい児福祉に関わるようになった人が大半です。
専門性を身につけて人の助けになる仕事がしたいという人や、家族や自分の子どもをケアするために資格を取得した人など、そのきっかけはさまざまです。別の仕事を経験することで、改めて障がい児福祉への思いを新たにしたという意見もみられました。
前職との違いを感じるのはどんな時か
・子どもとの距離が近いため信頼関係が築きやすい反面、きめ細かなケアが必要になる
・医師がいない環境で仕事を進めていくこと
医療機関から放課後等デイサービスに転職したスタッフからは、業種による違いを感じるという意見が多く聞かれました。
放課後等デイサービスでは子どもと接する時間が長く、長期的な関係を構築していくことが求められます。総合的なケアを提供するという面から保護者との連携も重要になるなど、利用者との関係構築において違いを感じる人が多いようです。
また、放課後等デイサービスでは医師が常駐しないことから、仕事の進め方に違いを感じたという意見もありました。
専門職の知識やスキルが活かせていると感じるのはどんな時か
・保護者からの相談を受け、きちんとアドバイスできたとき
・児童の特徴に合わせたアプローチを試み、成果がかたちになってあらわれたとき
放課後等デイサービスにおいて、専門職スタッフの人数は多くありません。その中で自分の専門分野に関する困りごとや問題を適切に解決できたとき、知識やスキルを活かせていると実感するという意見が多く聞かれました。
また、専門職ならではの着眼点で支援が必要な部分をいち早く見つけ出せた時にもそう感じる、という意見もありました。
仕事にやりがいや楽しさを感じるとき
・できなかったことができるようになったり、子どもの成長を実感したとき
・子どもや保護者と信頼関係を築いていると実感できたとき
・子どもとともに自分も成長できていると感じるとき
圧倒的に多かったのが、子どもが楽しく過ごしている姿や成長を実感できたときという回答でした。子どもや保護者との信頼関係を築けたと実感した時にもやりがいを感じるという意見が聞かれました
。障がい児福祉分野未経験で入社した人からは、新たな仕事にチャレンジする土壌が整っていることにやりがいを感じるという声もありました。
仕事で大変さやハードルを感じる時
・それぞれの障がいや特性を細かく把握するのは大変だと思う
・現代の子どもたちに合った勉強方法を探すとき
・指導においてスキルや知識不足を痛感することがある
子どもとの接し方について悩んでいるという方が非常に多い結果となりました。
放課後等デイサービスでは、個々の障がいや発達の特性に合わせてより伝わりやすい言葉の選び方を探したり、楽しく学習を進めていく方法について常に模索していく必要があります。
また、専門外の業務が多いことに戸惑うことかあるという意見も聞かれました。
放課後等デイサービスで働くのに向いている人
子どもが好きな人
障害者福祉施設が働く以上子ども好きというのは大切な要素ですが、そこから一歩踏み込んで、障がいや発達に特性がある子どもに寄り添い理解者であろうとする姿勢が求められます。
アンケートでも「療育者であり理解者であること」という回答がみられました。子どもにとって、より良い時間を提供したいというサービス精神や遊び心も大切だという声も聞かれました。
広範囲の業務を楽しみながらこなせる人
放課後等デイサービスは少人数のスタッフで運営していることもあり、それぞれのスタッフに求められる業務は多岐に渡っています。
送迎や書類仕事など療育以外の仕事も臨機応変に楽しめる柔軟さを持っている人が望ましいでしょう。
分野にこだわらず新しい知識を吸収できる人
専門職同士がチームを組んで業務にあたる病院とは違い、放課後等デイサービスでは事業所に理学療法士が一人しかいないことも珍しくありません。
さまざまな障がいや発達の特性を持つ子どもを支援するには、幅広い知識を備えている必要があります。
時には専門分野に拘らず新しい知識を吸収して、仕事に活かせる柔軟性と積極性を持つ人が向いています。
理学療法士の給与や待遇は?
さまざまな現場で必要とされる理学療法士ですが、沖縄県における児童デイサービスでの給与の相場は約20万円~27万円程度が一般的です。
理学療法士は医療国家資格ということもあり、児童デイサービスで働く職種のなかでは、比較的給与水準は高めだといえます。理学療法士の就職先としてよく挙げられる病院と比較しても、仕事量や内容から考えるとむしろ高待遇だという意見も聞かれました。
自分に合った事業所を見つけるには、研修制度や育児休暇など、ライフスタイルの変化やキャリアアップに合わせた福利厚生が充実しているかというのも大切なことですが、チェックするべきポイントはそれだけではありません。
沖縄特有の就職事情として、自家用車での通勤に対する補助の有無は必ず確認しておくべきでしょう。
駐車場やガソリン代、車のメンテナンス費用など、自家用車での通勤にかかるさまざまなコストをどれだけ負担してくれるかによって、手取りが大きく変わってきます。
株式会社ライフデザインではほぼすべての事業所で駐車場を無料で使えるなど、自家用車での通勤へのサポート体制が充実しているのが特徴です。
また、放課後等デイサービスはその性質上、学校が終わる昼以降から夕方6時くらいまでが療育の時間として充てられています。
そのあと送迎などを済ませるので、業務が終わるのが19時を過ぎることも珍しくありません。
そのぶん残業は少なめなので、仕事と家庭の両立を目指す方にも向いています。
ただし夏休みなどの長期休業時は勤務体系が変わることもあるので、事前によく確認しておく必要があります。
まとめ
この記事では、児童デイサービスで働く理学療法士の役割や給与、待遇について解説してきました。
この記事のまとめ
- 「児童発達支援」は未就学児が対象、「放課後等デイサービス」と小学生~18歳未満が対象
- 放課後等デイサービスは学校が終わった後に行われるので、業務終了が遅くなることもある
- 理学療法士は、身体機能に着目して基本動作能力を引き出すリハビリやトレーニングを行う医療専門職
- 給与は20~27万円と児童デイサービスの中では比較的高め
- 給与だけでなく自家用車の通勤などの福利厚生などのサポート体制にも着目することが必要
株式会社ライフデザインでは、児童デイサービスまはろ・児童発達支援あろはkidsで子どもの療育に取り組む理学療法士を募集しています。沖縄県内で理学療法士として働いてみたいという方は、ぜひ当社までご相談ください。
ライフデザインのスタッフや雰囲気がわかる動画を公開しています。
ぜひご覧ください。