発達障がいの早期療育とは

早期療育は、障がいのある児童の育成において、できるだけ早い段階で適切な療育支援や指導訓練などを行い、障がいの軽減や基本的な生活能力の向上を図り、自立と社会参加を促進する取り組みです。

日本では保健所や市町村が、3か月、18か月、3歳児を対象とした検診を行い、障がいの早期発見、早期療育を進めています。

早期療育が重要な理由とは？

発達障がいのある子どもの療育は、早く始めることが大切と言われています。
なぜ早期の療育が大切なのでしょうか？
ここでは早期療育が重要な理由を解説します。

希望してもすぐに受けられないことがある

一部の地域では、早期療育に必要や医療機関や施設が不足している場合があり、希望してもすぐに受けられないことがあります。
そのため障がいを早期に発見できた場合は、なるべく早く治療、療育を開始することが大切です。

保護者支援のため

早期療育のもっとも重要で不可欠な理由は保護者支援です。
障がいのある子どもを育てる保護者のストレスや負担は、想像以上に大きいもの。
早期療育は、子どもの療育とともに、保護者の方へのフォローや子育て支援の面でも大きな役割を果たします。

二次的な問題を予防することができる

発達障がいの場合、

・学校などで友達関係がうまくいかない
・学習が遅れる
・子どもが自信を失ってしまう

などの二次的な問題が起きてしまう可能性があります。
二次的な問題を予防するためにも早期療育は重要なのです。

ここまでは早期療育が重要な理由について解説してきました。
では早期に療育を開始することで、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか？

発達障がいの早期療育の効果

ここでは、おもな発達障がいの早期療育の効果を解説します。

保護者が安心して子育てできる

発達障がいの子どもの早期支援については、国も積極的に取り組んでいます。
そして国が、早期支援のもっとも重要な意義としてあげているのが、保護者支援です。

障がいのある子どもを育てるには、知識や適切な対応、周りからのフォローが必要。
早期に療育を開始することで、

・子育ての不安やストレスが解消できる
・適切な関わり方が早く習得できる
・子育てについて相談できる

などの効果が期待できます。

子どもの健全な成長には、保護者の関わり方がとても重要です。
保護者の方が安心して子育てできる環境を整えるのは、少しでも早いほうが良いでしょう。

対人関係がうまくいく

療育では人間関係を良好に進めるためのトレーニングを行います。
発達障がいの子どもは、人間関係を築くことが苦手な子が多く、それがストレスとなり引きこもりや不登校につながる場合があります。

人間関係のトラブルは修復が難しく、改善してもまた繰り返すことが多いため、人間関係を良好に保つための療育は早期に開始するべきです。

学習の困難さを最小限に抑えられる

幼少期は脳が新しいスキルを吸収し、経験に応じて変化する能力が高い時期です。
この時期に適切な療育を提供することで、脳の発達を促進し、学習の困難さを最小限に抑えることができる可能性があります。

また学習は遅れてしまうと取り返すのが難しいもの。
得意不得意を早期に発見し対処することで、学習の遅れを未然に防ぐことができます。

子どもが自信をつけられる

発達障がいの子どもが適切な療育を受けずに学校などに通うと、学習の遅れや友達関係の難しさを感じたり、ほかの子どもと比較してしまったりして、自分を責めたり、自信を失ったりすることがあります。

早期に適切な療育を受けることで、自分のできることや苦手なこと、他者と比べなくても良いことなどが理解でき、自信をなくす可能性が低くなります。
早期療育は子どもが自信をもって生活できる可能性を高くします。

この段落では、早期療育の効果を説明しました。
早期療育は、学習の遅れを予防し、人間関係を良好に保ち、自信をもって生活できるだけでなく、保護者の方も安心して子育てできるなど、たくさんのメリットがあります。
子どもの成長にとって早期療育はとても重要なことがわかっていただけたのではないでしょうか？

早期療育の注意点

とても有効性の高い早期療育ですが、じつは注意するポイントもいくつか存在します。
安心して早期療育に進めるように、早期療育の注意点を解説しておきます。

障がい者のレッテルを貼らない

早期に子どもの療育を行うことで、子どもが「障がい者」とレッテルを貼られることがあります。
具体的には、周囲の人が子どもを「特別」とみなし、差別的な態度をとったり、それにより子ども自身も自信を失ったりすることがあるのです。

このようなことを防ぐためには、保護者の対応がとても大切。
周囲の人の対応を変えることはできませんが、子どもの強みを見つけ褒めたり、療育施設へは気持ちよく送り出したりなど、保護者がまずポジティブな気持ちで療育を受入れることが大切です。

療育を過剰に期待しない

療育にはたくさんの効果がありますが、「療育」は「治療」ではありません。
療育はあくまで発達支援です。
保護者の方が「障がいを治したい」という思いで療育を受けさせていると、改善しなかった場合、保護者が大きなストレスを感じてしまうことがあります。

また過剰な期待は子どもにもストレスを与えます。
伸び伸びと自分の特性を感じ、自分に向き合いながら成長を続ける。
保護者の方も、子どもの特性を受け入れ、サポートしながら、成長した部分をともに喜び合う姿勢がとても大切です。

療育を受ける施設はどこでもよいわけではない

一口に発達障がいと言っても、自閉症、ＡＤＨＤ、学習障害などさまざまな障がいがあり、それぞれに特徴があります。
加えて同じ障がいでも一人ひとり特性も違います。
また就学前の早期療育は「児童発達支援」で受けられますが、療育内容は事業所によって異なります。

そのため、子どもの障がいの特性をしっかりと見極め、適切な療育が受けられる施設を選ぶことがとても大切です。

早期療育には多くの効果が期待できます。
注意するポイントを理解しながら早期療育を受け、子どもの成長を見守りましょう。

まとめ

この記事では、発達障がいの早期療育について、重要な理由や効果、注意するべきポイントについて解説しました。
この記事をまとめると以下のようになります。

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